友禅にはよく知られたものに京都の京友禅、加賀の加賀友禅がありますが、将軍のおひざ元である江戸で染められる友禅をご存知でしょうか。
これを江戸友禅といい、始まりは江戸時代中期で、京都から江戸への「くだりもの」(上方から江戸にもたらされた産物)のひとつに京友禅があったことです。
染色の技法は京友禅と同じですが、武家文化が盛んだった江戸の人々の好みに染められ、京友禅や加賀友禅が花をあしらった模様が多いのに対し、こちらは、城下の武家に仕える奥女中に好まれた「釣り船」、「磯の松」や「浜千鳥」、「綱干し」といった江戸前の風景が描かれ、色も寒色系を用いてキリッとした印象を受けるという違いがあります。